虚無リンピック

何もなく虚しい・なんの価値も
みとめられないという意味の
"虚無"と、世界各国・地域の選手が
スポーツで競う"オリンピック"を
組み合わせた造語。

得るものがなにもない・全く
意味を見いだせないといった
感情を抱かせたものや
作品に対して使われる。

統合失調症の私は
同じく統失の私の母と連れたって
映画を見にいったことがある。

母の方はもう入院していたが
私の方はまだ大学生であり
医師の診断も受けていなかった頃の話である。

劇場にアーロと少年という映画を見に行った。

なんの感慨も得られなかった。

ストーリーも、思い出したくとも思い出せない。
映画の名前すら、"ディズニー 恐竜"
とヤフり、ようやく"改めて知る"ことが出来た。

映画を見たということと
映画のラストシーンで人間の子供の手形と
恐竜の子供の前足の(いわゆる)手形が
ベチョっベチョっと並んで刻まれる
その泥の不快な効果音と共に記憶している。

中学・高校の頃、毎日が辛く
(あまりに辛いので)
感情なんかなくなればいい
そんな風に毎日思っていた。

それが、
皮肉にも統失を引き寄せたのだろうか。

遺伝というのは否めないが、やはり
それでも私の感情の薄いせいではなく
明らかに例の映画は虚無リンだった。

私の母との日常も、まさかそんなことはないが
映画化されれば、虚無リンピック金メダル級だ。